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足入れのいい靴

2011.10.09.Sun.23:38
この靴は足入れがいい――これもまた、靴の広告などでしばしば目にする宣伝文句です。
足入れとは、読んで字のごとく、足を靴に入れること。
足入れがいいとは、つまり、楽に靴に足が入ることを意味します。
屋内で靴を脱ぐ日本では、足入れのよさを謳う宣伝が受けるのでしょう。
学校指定靴の多くがローファーと呼ばれるスリッポンタイプの靴だったり、上履きがゴムストラップの布靴だったりするのも、一日の間に何度も靴を脱ぎ履きする日本独特の事情が影響しているのだと思います。

足入れがいいということは、足抜けがいい、ということでもあります。
これを「脱ぎやすい」と言えば長所のようですが、ぶっちゃけ「脱げやすい」わけです。
脱げやすい靴がいいと思う人はおそらくいないでしょうから、つくづくモノは言いようだなと思います。
足入れがよい靴と聞くと、私などは、踵がスポスポして歩きにくいだろうなあ、と考えてしまうのですが…

この「足入れ」、実は作り手の都合が大きく反映しています。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、靴作りには、木型と呼ばれる原型(下の画像をご覧ください)に革を引っ張って釘などでとめる「釣り込み」という工程があります。
釣り込みは、言わば、平面的な革を立体的な靴へと作り上げる作業です。
靴が完成すると、木型は靴から引き抜かれます。
実は、ここに問題があるのです。

足は、踵や土踏まずが足趾(ゆび)のつけ根より細いため、木型も同じように踵の方が前方より細く作られています。
木型を抜く時には、幅の広い部分も含め、すべてが狭い出口(履き口)を通り抜けることになります。
しかも、木やプラスチック樹脂でできている木型は、足のように柔らかくすぼまったりしてはくれません。
あまりに履き口や踵、土踏まずが狭く細い靴を作ってしまうと、完成した後に木型が靴から取り出せなくなってしまうのです。

靴学校に通っていたころ、私も、フィット感をギリギリまで追求し、木型の踵や土踏まずを削って内羽根の紐靴を作ったことがあります。
完成後、木型が靴から抜けなくて、本当に大変な思いをしました。
ようやく抜けたと思ったら、なんと出来上がったばかりの靴が壊れてしまい、一度も履かないうちに修理する羽目に陥りました(靴にお詳しい方なら、「内羽根靴が外羽根靴になってしまった」と言えば、どの部分が壊れたかお判りになるでしょう…汗)。
これは、入り口が狭く奥が広い「靴」という容れ物が、宿命的に持つ弱点と言えるでしょう。

足を靴に入れるときも、事情はまったく同じです。
足趾の付け根などの幅の広い部分も、狭い履き口や土踏まずを通らなければなりません。
でも、狭い間口とトンネルをくぐり抜けると、靴の前方にはちゃんと必要な空間が保たれている、それがフィットする靴の条件です。
もちろん、木型と違い足は柔らかく形を変えることができるので、狭い履き口を通っても靴が壊れるようなことはまずありません。
ただ、履く時に一瞬窮屈な思いをしたり、靴べらを使わなければならなかったり、両手でしっかりと靴をおさえて履かなければならなかったり、足を入れたあと紐やストラップで止めなければならなかったり…、といったひと手間がかかるのです。
これを面倒だな、と思う人が多いために、「足入れのいい」靴がもてはやされているのだと思います。
しかし、足の健康やトラブル防止などの観点からすれば、「足入れの悪い靴」と「足入れのいい靴」のどちらがよいかといえば、答えははっきりしています。

とくに、身体や足を作り上げる時期のお子さんや若い世代の人々が、すぐに履き替えられるといった理由で、足をしっかりサポートできない靴を履くことは、決してお勧めできません。
知人のドイツ人マイスターは、日本でポピュラーな学校用上履き(爪先に赤や緑や黄色の色分けがされている布靴)を見たとき、「これは、靴か?」と呆れ、絶句したそうです。
また、通学用外履きの定番であるローファーとは、紐も結ばない「怠け者」の意味。ローファーを含むスリッポンシューズはもともと室内履きであって、硬い地面を歩くためのものではありません(スリッパの語源がスリッポンです)。

セノビージャが初心者用のゴムストラップ靴を作らない理由の一端も、この点にあります。
フラメンコシューズの多くが、紐靴やストラップなど、履く時にひと手間かかるデザインになっていますが、面倒だな~なんて言わないで、毎回しっかり締めてくださいねラブラブ

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コメント
1 ■無題
足入れってそういった意味だったんですねf^_^;)
僕は足入れ=足を入れた時の柔らかさやフイット感の良さ。と言う意味合いをこめて使ってました(^^)

履く時は多少面倒でもしっかり足に固定出来て歩き易く、尚且つ足が疲れない。そんな靴を追い求めるのは最大のテーマです(^^)
2 ■Re:無題
>ドランキーさん

コメントありがとうございます。
足を入れた時の心地よさは、「足当たりがよい」などと言いますよね。
関節可動域が少ない人や、麻痺などで自由がきかないひとには、足入れのよさが求められるケースもありますが、その場合も単純に履き口を拡げるのではなく、面ファスナー(ベルクロ)などで開口し、足を入れた後はしっかり足を包み込んでくれる靴でなければなりません。
少なくとも、一手間かければちゃんと履ける人は、とくに後足部~中足部にかけてキチンとフィットする「足入れの悪い」靴を履いていただきたいな、と思っています。

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