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モートン病

2011.07.25.Mon.18:55
*以下、テキストが紫色の部分は医学的説明です。不要な方は読み飛ばしてください。
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先日ご来店いただいたお客さまは、やや深刻なトラブルをお持ちの方でした。
フラメンコのキャリアは20年以上に及びますが、数年前に「モートン病」(*註1)を発症。
通院治療のご経験もあり、大好きなフラメンコも一時期中断を余儀なくされたとのこと。

モートン病(Morton neuroma)。
一般にはなじみが薄いかもしれませんが、靴や足に携わる者にとってはポピュラーな絞扼性神経障害(=神経が締めつけられて起こるトラブル)です。
1876年にオーストリアのトーマス・G・モートンが症例報告を行ったことから、この名がつきました。
靴文化の発信地である欧米では、100年以上前からこのような足トラブルが重大な問題として認識されていたのですね。

モートン病は、足裏の第三・第四中足骨骨頭(足の中ゆびと薬ゆびのつけ根)付近で発症することが多く(ほかの足趾間で発生することもありますが)、刺すような、あるいは焼けるような痛みや、締めつけられるようなしびれが特徴です。
初期の段階では、靴を履くと痛みが生じますが、素足になると痛みはなくなります。
進行すると、靴を脱いでも激痛が襲います(ただし、アーチ補正機能のある靴の場合、靴を履いた方が痛みが軽減する場合もあります)。
「足から頭の先まで貫くような痛み」と表現する方もおられます。

原因としては、
・爪先立ちやしゃがみ姿勢での長時間作業
・前足部に負担のかかるハイヒール(とくに爪先が細く尖った「ポインテッドトウ」は要注意)や足に合わない靴
・硬い地面や床の上での長時間の歩行や運動
・加齢による靭帯のゆるみや筋力低下
・体重の増加
…などなど、ケース別にさまざまな要因が考えられます。
フラメンコは靴のタコンも高く、床も硬く、長時間練習される方も多いですから、モートン病に関してはややハイリスクと言うことができますね。

ただし、いずれの場合でも、足のアーチの沈下により、中足骨骨頭(足ゆびの付け根、プランタの位置)付近に過度の足底圧がかかることが、直接的な引き金となります。
とくに足裏の第三趾(中ゆび)と第四趾(薬ゆび)の間の付け根部分は、もともと神経の通り道が狭く、過度な負荷がかかったときに逃げ場がないため、モートン病の多発部位となっています。
一般には中高年以上の女性に多いとされますが、若い方や男性でも足を酷使していれば発症のリスクは高くなります(*註2)。
ひょっとしたら…?と思われる方は、まず足トラブル専門の外来窓口がある病院を受診されることをお勧めします。

一方で、モートン病の痛みは、日常生活上の諸注意や靴選び等によりかなり軽減します。
先日ご来店されたお客さまは、痛みへの恐怖心から、ジャストサイズよりも少し大きめの靴を履きつづけておられました。
試し履きで私が差し出した靴をご覧になって、最初は「そんなに細い靴は絶対ムリムリ! 履いた瞬間に痛くなりそう」と思われたそうです。
実際にお履きいただき、「えっ、不思議! どうして痛くないのかしら? 私の足ってこんなに細かったの?」と驚いておられました。
足幅の細い靴で「脇を固める」と、横アーチをサイドからサポートすることになり、それだけで痛みが軽減するケースは少なくありません(もちろんただ細いだけではダメで、足趾を締めつけないゆとりも必要です)。
さらに靴のなかに調整を施すことで、より積極的に沈下したアーチを押し上げる方法もあります。
セノビージャ・ハポンでは、既成のパッドによる調整のほか、ドイツ製の医療用シリコン(シリコンオーテーゼ)を用いてフルオーダーの調整を施すメニューもご用意しています(*註3)。
大好きなフラメンコを諦めなくてすむ、と嬉しそうにお帰りになったお客さまの笑顔は、フィッティングさせていただいた私まで幸せな気分にしてくれました。

フラメンコは、嘘をつきません。
身体が痛かったり、辛かったりすれば、必ず踊りにも現れます。
違和感を感じたら、それは身体からのメッセージ。
トラブルが大きくなる前に、ぜひ一度フィッティングルームを訪ねていただけると嬉しいです。

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*註1:足趾(ゆび)の過伸展(爪先立ちの状態)により総底足底神経が引っ張られたり、横アーチや内側縦アーチが沈下することにより、中足骨骨頭に過度の足底圧がかかると、その上を横切る深横中足靭帯に当たって圧迫を生じます。足趾神経は深横中足靭帯と中足骨間に挟まれた繊細な感覚神経で、慢性の機械的刺激を受けると神経腫(良性腫瘍)を形成し、滑液包が炎症を起こします。これが、モートン病に特有の放散痛・疼痛を引き起こします。
第三趾と第四趾の間で多発するのは、この部位に内側足底神経と外側足底神経の交差枝があり、他の足趾間よりも足趾神経の可動域が少ないためです。
また、とりわけ最近は扁平足・踵骨外反等により外側縦アーチが沈下し、立位の際に第五趾(小ゆび)側に重心が偏る方が増えており、第三・第四中足骨骨頭の圧迫を助長しているケースも散見されます。


*註2:たとえば、第二次世界大戦中に陸軍歩兵が悩まされた「行軍腫」もモートン病の一種と言われます。

*註3:既製品による調整は、靴ご購入後3ヶ月以内は無料で行います。
シリコンオーテーゼによる調整の場合は、完全なフルオーダーのため別料金ですが(9,450円/1足)、ご自身の足にテーピングで理想的なアーチを作り上げ、それを医療用シリコンに転写して靴の中に再現するため、かなりシビアなトラブルをお持ちの場合でも違和感なくお履きいただけるお勧めの方法です。

セノビージャ・ハポン公式サイトはこちら
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