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ハグルンド腫とカウンター調整

2012.10.12.Fri.00:38
久々に靴屋さんらしいテーマのブログですくつ

ようやく秋らしい気候になってきましたもみじもみじもみじ
そろそろ「新しい靴を買わなくちゃ」(←などという映画も上映されているようですが)なんて思案中の方もおられるのではないでしょうか?
一方で、靴を新調するたびに靴ずれや水ぶくれができてしまう…そんな声もよく耳にします。
とくに踵のうしろに靴ずれができる足には、その部分が腫れたように盛り上がったり、豆粒のような出っ張りができる「ハグルンド腫(ハグルンド変形)」というトラブルがしばしば見られます。
日々フィッティングをしていると、こうしたお悩みを持つ方が最近とみに増えているなあ…と感じます。

ハグルンド腫とは、堅苦しい言い方をすると「踵骨大結節後上外側の骨性隆起」。
姿勢やフォームの乱れから骨格配列(アライメント)が崩れたり、踵のサイズやフォルムが合わない靴を履き続けたりすることで、踵のアキレス腱付着部付近に過度な刺激や圧迫が加わって炎症が起き、踵の骨(=踵骨)の一部に出っ張りができてしまうものです。
「踵が細すぎる靴」が良くないなどと言われることもありますが、私見の限りでは「踵が細すぎる靴」など、昨今街でお目にかかることはまずありません。
むしろ、イマドキのハグルンド腫は「踵の大きすぎる靴」によって引き起こされているというのが偽らざる実感です。

踵が大きすぎる靴のなかでは、歩くたびに踵骨がグラついて前後左右にブレを起こし、断続的に靴の「壁」に当たって刺激を受けます。
ふつう人は歩くとき踵から着地しますから、踵のブレで踵骨の外反や内反が誘発されると重心移動が不安定になり、姿勢やフォームも崩れがちになります。
また、通常靴のアッパーの踵部分には「カウンター」と呼ばれる硬い芯材が入っていて、サイズの合っている靴ならばカウンターが踵骨の横ブレを防いでくれます。
ところが、カウンターが入っていない靴(ドライビングシューズなど)や、入っていても柔らかすぎる素材でできていたり長さが短すぎたりすると、踵骨を脇から支える役目を果たしてくれないのです。
実はセノビージャの靴も、以前はカウンターの長さが楔状骨(足の半分くらい)までしかありませんでした。
それでも、靭帯が堅固で骨格や筋力に恵まれた強靭な足にとっては、充分な長さだったのです。
しかし、日本をはじめとする東アジアの多くの地域ではより華奢な骨格の方が多く、そうした足を支えるにはさらに長いカウンターが必要という発想から、現在では中足骨骨頭(足趾の付け根)の手前までカウンターの長さを伸ばすという改良を加えています。

では、カウンターが長くて丈夫ならそれだけで良いのか、というと、話はそう単純ではありません。
カウンターが硬く可塑性のない素材(プラスチックなど)でできていると、どんなに長時間履きならしても、踵骨の形になじんでくれないからです。
セノビージャの靴は、踵部分のカウンターも爪先部分の先芯も、芯材はすべて良質の銀付き革を使用しています。
これは、「足をしっかりと支える」という機能と「足にしっくりと馴染む」という特性を兼ね備えた材質として、天然皮革が最良の選択であると確信しているからです。
天然皮革は、細かく短いコラーゲン繊維が化学的・物理的にしっかりと結合してできあがっています。
このため、耐久性・強靱性にすぐれた素材でありながら、じわじわと時間をかけて伸ばせば、望みの形に変化してくれるという可塑性もあわせ持っています。
ハグルンド腫などのように一部だけが突出している場合でも、ポイントストレッチ調整という方法でカウンターを変形させると、当たりが和らぎ履きやすくなるのです。

靴の中の芯材が何でできているかは、靴職人や靴マニアなら手触りなどでおおよそ見当がつきますが、ふつうはなかなか見抜けないかもしれません。
残念ながらプラスチック製のカウンターは、ポイントストレッチ調整ができない(カウンターが伸びずに割れてしまう)ため、出っ張りが当たる部分だけカウンターをくり抜かなくてはなりません。
この調整方法は、靴の縫目をいったんほどかなければならないため費用も時間もかかりますし、カウンターのサポート力も落ちてしまいます。さらに、くり抜いた穴の縁が足に当たると、新たな違和感につながりやすいという問題もあります。
逆に、痛いからといって踵が柔らかくぶかぶかな靴を履いていると、踵骨のブレはさらに大きくなり、歩行フォームにもさらに悪影響を及ぼすことになります。
靴選びの難しさは、こんなところにもあるのですね。

見えない靴の中にどれだけ選び抜いた素材を使っているかは、そのメーカーの「良心」の表れでもあります。
良い靴は、履き下ろした瞬間から、あなたの足の骨格を記憶しはじめます。
そして履けば履くほど足になじみ、身体の一部になっていくのです。
この秋、そんなステキな一足との出逢いがありますようにビックリマーク

宝石紫セノビージャ・ハポンの公式サイトはこちら

*ハグルンド腫・ハグルンド変形(Haglund's deformity)
踵骨の外反・内反によるアキレス腱の牽引が刺激となって引き起こされる踵骨結節部後上外側の異常な骨性隆起。
一般的には女性に多くみられ、また両足性のものが多い。
ハグルンド腫自体が痛みを伴うことは少なく、靴のミスフィッティング等により圧痛・疼痛を生じたり、靴ずれを起こして外傷性の痛みを生じることが多い。
とくに素足でも炎症性の痛みがある場合は、アキレス腱滑液包炎を併発している可能性があり、またアキレス腱と踵骨が接する距離が長くなるため、アキレス腱周囲炎を併発するリスクも高い。
対処方法としては、①ヒールカーブの合う靴を選ぶ、②必要に応じてカウンターのポイントストレッチ調整、カウンター切除調整(U字型にくり抜くことが多い)を行う、③インソールまたはアウトソールでヒールアップまたはヒールダウン調整を行い、圧痛を回避する、などが挙げられるが、より根本的なケアにおいてはマルアライメントの改善が不可欠となる。
難治性のアキレス腱周囲炎を併発し激しい痛みを伴う場合は、稀に外科的治療(手術)により切除するケースもある。
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